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アンデックス株式会社 様

概要

アンデックス株式会社様は、仙台市を拠点に、ソフトウェアの提案、設計、製造、テスト、運用までトータルでカバーする開発会社。平成21年の設立当時から、東北ではまだ少なかったモバイルアプリの開発に着目し、現在ではスマートフォン向けアプリ開発が同社の強みになっている。また、同社の方針として『地域貢献』を掲げており、『水産×IT(水産業にITを取り入れる事業)』という取り組みを行っている。『水産×IT』により開発された、漁師向けスマートフォンアプリに『Xuni』を採用いただいた。

現場の意見を取り入れながら、チャートのアニメーションといった“動く画面”を楽に実装・提供できたことで、ITとは離れた場所にいる漁師にも理解を得られ、「データを管理することでこれまでの漁業のやり方を改善することができるのではないか」と、今後の可能性を示すアプリになったという。

『水産×IT』が生まれたきっかけ

仙台生まれ・仙台育ちの三嶋順氏が代表取締役を務めるアンデックス株式会社様。『地域密着型』の事業を展開している同社では、ただソフトウェアを開発するだけでなく、「より宮城県に貢献できる事業」「宮城県ならではの事業」ができないかと考えた。そこで注目したのが『水産業』だった。プロジェクト発足当初から携わっている鈴木宏輔氏は次のように振り返る。

アンデックス株式会社 システム部 プロジェクトリーダー 鈴木 宏輔 様
システム部 プロジェクトリーダー
鈴木 宏輔 様

「今やどの業種でも『システム化』が進んでいる時代ですが、水産業に関しては遅れていました。むしろ大企業がIT化を試みて失敗したケースもあると聞いています。難しいチャレンジであることは分かっていましたが、漁師さんの課題を聞き水産業まわりをITで整備できれば、市場も活性化し地域に貢献できるのでは…と考えました。」

同社代表の三嶋氏は、水産関連の商社で営業として勤務した経歴を持つ。そのため水産業の状況に明るく、多くの課題があることも分かっていた。システム化によって漁師の業務が改善されれば、コストダウンが図れるだけでなく、消費者も安く海産物を手にすることができる。東日本大震災で被災した沿岸部の支援にも繋がるのではないかと考えた。こうして『水産×IT(水産業にITを取り入れる事業)』が始まった。

具体的に事業を展開するにあたり調査を始めると、公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科の和田雅昭教授に出会った。和田教授は、海に浮かべて水温を測ることができるIoTブイ(ユビキタスブイ)を使い、「ITの導入による持続可能な沿岸漁業(IT漁業)」という取り組みを行っていた。『水産×IT』が和田教授の取組みと目指す方向が同じだったこともあり、事業の協力を得られることになった。

NTTドコモの「水産業でICTを活用する実証実験」に参入しアプリ開発

松島湾に浮かぶ水温センサ付ブイ
松島湾に浮かぶ水温センサ付ブイ

事業を進めていく中で、また新たな出会いがあった。株式会社NTTドコモの担当者から声がかかったのだ。NTTドコモでは、もともと東日本大震災で大きなダメージを受けた水産業者向けに震災復興支援を行っており、アンデックスの『水産×IT』の活動はこの取り組みにもマッチした。これにより、「NTTドコモが推進する水産業でICTを活用する実証実験」の一環として、牡蠣と海苔の養殖を行う漁師向けに、IoTブイを活用したスマートフォン向けアプリの開発を行うことになった。

“経験と勘”の見える化

実証実験の第1弾として、海域の水温データを蓄積することからはじめた。まずはデータを『見える化』することが重要であったため、IoTブイから1時間毎に送信される水温データから、最低水温、最高水温、積算水温(※)を可視化するAndroidアプリを開発した。Android開発担当の高橋直樹氏に、このアプリの概要について説明いただいた。

※ 積算水温:水生生物の放卵時期の目安に使う値。水温が一定基準を超えた分を加算し、目安となる値(牡蠣の放卵であれば600℃)に達した場合に放卵の指標となる。

アンデックス株式会社 システム部 Androidアプリ開発 高橋 直樹 様
システム部 Androidアプリ開発
高橋 直樹 様

「アプリでは、ブイを浮かべている数か所の海水温が一目で分かります。積算水温により牡蠣の産卵のタイミングが分かるため、これまで漁師の方は毎日船を出し水温を測りに海へ行っていたのだそうです。このアプリにより、わざわざ沖まで船を出さなくても知りたい場所の水温が分かるため、船の燃料代の削減に繋がります。」

長い間、水温は膨大な量の“紙”に記録されていた。毎日積み上がるデータを過去に遡って見返す時間はないため、『不漁だった年の理由が分からない』という話もあったという。

「アプリでデータを取得できるので、簡単に過去の振り返りができるようになりました。また、水温を測りに行く手間も削減できるので、データからじっくり分析する時間もとれるようになります。」(高橋氏)
このアプリで蓄積した水温を可視化するために役立ったのが、モバイルアプリ開発用UIコントロールセット『Xuni』だ。グリッドとチャートはマスト機能だったため、Xuniはこの案件に合っていたという。

Xuniは、チャートやデータグリッドなどのユーザーインタフェースを部品として提供し、AndroidやiOSアプリの開発を支援する製品だ。アプリの開発時に組み込んで利用する。今後増加が見込まれるIoTを各種産業に適用するシステムでは、蓄積したビッグデータを利用者に使い勝手の良い方法で提供することが重視される。Xuniの各種コンポーネントを利用してデータを可視化することで、利用者が手元で直観的に確認しやすいスマートフォンやタブレット用のモバイルアプリが開発できる。

Xuniでは、FlexGridによる水温データの一覧表示、FlexChartによる水温データの比較を実現。そしてポイントとなる『積算水温』については、どう表現しようか最後まで悩んだというが、高橋氏による提案でGaugesを採用して水温表示の下に円形のメーターを表示することになった。

アプリ画面のサンプル

「アプリ画面のサンプル」左:Gauges、中央:FlexGrid、右:FlexChart

積算水温
(円形ゲージ:Gauges)
トップ画面で積算水温を直観的にわかりやすく可視化します。

水温データのテーブル表示
(グリッド:FlexGrid)
蓄積した水温データの表示に利用します。最大3箇所の定点観測ポイントの水温を、時系列で表形式に並べるシンプルな画面です。正確な水温データを数値で把握できます。
水温の時系列グラフ
(チャート:FlexChart)
水温の実測値と時間平均値を切り替えて表示します。時系列で傾向が確認できるように折れ線グラフを採用しました。ひとつのグラフに表示するデータ系列は、3ヶ所の観測ポイントと追加グラフ1本の合計4系列です。追加グラフは過去の特定日(n日前)を指定したデータを表します。

AndroidとiOSアプリを開発する課題

Androidアプリがある程度形になった頃、iOS版の開発がスタートした。iOS開発担当の赤井澤雄介氏は、Xuniについてこう話す。

アンデックス株式会社 システム部 iOSアプリ開発 赤井澤 雄介 様
システム部 iOSアプリ開発
赤井澤 雄介 様

「グリッドやチャートはiOS環境のデフォルト機能には無いので、ライブラリなどを使わないとなると0から自分で作らなければなりません。XuniにはAndroidにもiOSにも同じコントロールが入っているため、『Androidと同じ画面にすること』に大きな苦労はありませんでした。また、E-mailサポートの返答が早く、サンプルソースもいただけるので納期も短縮でき、とても助かりました。」

さらに赤井澤氏は続ける。

「スマホアプリに慣れ親しんでいる今の人たちは、“画面は動くことが当たり前”と思っています。静止画はなかなか受け入れてもらえないんです。その点、Xuniはチャートを表示や更新する際にアニメーションが入りますし、その部分に工数がかからないのは良いですね。Xuniが無ければ同じクオリティのアプリはできなかったと思います。」

アプリが漁師に受け入れられた

データを可視化したことにより、これまで『ゆりの花が咲いたらこの作業をする』というような漁師の経験と感覚に頼っていた多くの業務について、作業の効率化を図れることを説得できていると実感した。足繁く漁場に通い、現場の声を聞き続けたことで、漁師の方からも「自分たちの知りたいデータがやっと見られるようになった」と言われ、アプリは好評だという。

「データを見られるようになったことで、今度は風が見たい、波の高さが見たい、というような要望をいただくようになりました。現在も追加開発を行っていますが、Xuniのバージョンアップで追加された新機能をもとにした提案も行っていきます。」(鈴木氏)

『水産×IT』はまだ始まったばかりの事業で、手法も手探りであり、明確なゴールはない。しかし、プロジェクトについて3人は口を揃えて「やりがいがある」「楽しい」と話す。現場の漁師の方に認められたいと、ITエンジニアのチャレンジ精神がくすぐられるのだという。

今後は、アプリを導入してデータ管理することによって、『稚貝の死滅リスクを削減できた』『より美味しい海産物が養殖できるようになった』という結果に繋がるよう取り組んでいく。また、アプリの対象は現在松島湾のみだが、他地方からの問い合わせもあるので規模の拡大も予定しているという。

水産業全体の今後を担うようなこのプロジェクトは、海に囲まれた島国の日本にはうってつけの事業とも言える。グレープシティも同じ宮城の企業として、この『水産×IT』が宮城から日本、ゆくゆくは世界にも展開されることを期待し、応援したい。
アンデックス株式会社 集合写真

アンデックス株式会社

アンデックス株式会社

所在地 本社
〒980-0804
仙台市青葉区大町1丁目3-2 仙台MDビル5階
設立 2009年1月
会社概要 コンピュータソフトウエアの設計、製造、企画、調査及びコンサルティングまで一貫して行う地域密着型のSI企業。モバイルアプリ開発に力を入れている。
企業サイト http://www.and-ex.co.jp/

水産×IT

  • 水産×ITは、水産業にITを取り入れ、水産業の活性化に取り組む事業です。
    http://marine-it.net/

株式会社NTT ドコモが推進する水産業でICTを活用する実証実験